会長挨拶
2018年4月より長野県透析研究会会長に選出されました信州大学腎臓内科・血液浄化療法部の上條です。本研究会は、透析および関連諸分野の研究を推し進め、長野県下の透析の普及と成績の向上を期し、透析患者の福祉向上を図ることを目的としています。現在、本研究会には長野県内のほとんどの透析施設が施設会員として参加しておりますが(64施設)、今後、この目的を果たすために会員一同一層の努力をしていきたいと考えておりますのでよろしくお願い申し上げます。
日本において血液透析が保険適応になったのは昭和42年ですが、当研究会は昭和43年の秋に発会式が行われたと記録にあり、まさに透析療法の歴史とともに歩んできた由緒正しい研究会であります。透析療法がまだ一般的ではなかった時代に、この長野県でも透析療法を広め多くの腎不全患者を救うために、いち早く諸先輩方が先見の明を持ちこの研究会を立ち上げたことは驚きに値します。そのような諸先輩方の努力の積み重ねにより、その後、透析医療は長野県を含め全国的に目覚ましい発展を遂げることになります。透析医療は多くの末期腎不全患者さんの命を救ってきた画期的かつ優秀な治療法であり、2016年末の統計調査では全国で33万人弱の末期腎不全患者さんたちが透析療法のおかげで命をつないでいます。国民385人に1人は透析患者さんであるという状況であり、まさに日本は血液透析大国と言われる所以です。
日本の透析技術は世界一優れていますが、近年は高齢化や複雑な病態を併せ持った透析患者さんが増加しており、更なる透析技術の向上や、そのための様々な臨床研究が必要です。また、我々医療者は時代とともに変化する社会保障や医療経済の問題にも対応する必要があります。本研究会では、それらの問題点に対してリサーチクエスチョンを抽出し、現状評価を行い、解決策について議論し、透析に関わる医療者の質を均等かつ全体的に高めることで、透析患者さんの予後をさらに向上させたいと考えています。
これらの目的を達成するための方策として、本研究会では学術集会の開催(年1回開催、特別講演、一般演題、シンポジウムなどで構成)、長野県透析研究会誌の発行(主に学術集会で発表された演題の論文化)、各種講演会・講習会の開催、腎臓病に関連する様々な他研究会への支援などを行っています。今後も、長野県における腎臓病研究の中核を担えるように、透析医療の周辺分野も含めて本研究会が関与する領域や度合を増していきたいと考えております。特に、保存期慢性腎臓病の重症化予防、様々な腎臓病合併症対策、腎移植などに対しても、積極的に研究活動や啓蒙活動をしていきたいと考えております。
今後も長野県透析研究会に対するご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。